平成30年度活動報告

患者中心の意思決定支援
-がん治療におけるアドバンス・ケア・プランニングの実践とコツ-

概要

平成30年10月27日(土)、新大阪丸ビル別館において、平成30年度ライフステージに即したがん看護能力スキルアップコース (インテンシブコース)を開催しました。
今回は、診断期からのアドバンス・ケア・プランニング(ACP:Advance Care Planning)の重要性の認識が高まっている現状を鑑みて、「患者中心の意思決定支援-がん治療におけるアドバンス・ケア・プランニングの実践とコツ-」をテーマとしました。
冒頭に、本学を含む関西7大学の事業責任者である小泉雅彦教授より、多様な新ニーズに対応する「がん専門人材(がんプロフェッショナル)」養成プランについて紹介がなされました。
その後、第2期のがんプロ事業の修了生であり、乳がんの専門病院におけるACP推進プロジェクトメンバーでもある、山本瀬奈先生を講師に迎えしました。当日は、学内外の看護師83名の参加がありました

講演 『患者中心の意思決定支援
-がん治療におけるアドバンス・ケア・プランニングの実践とコツ-』
講師 社会医療法人博愛会 相良病院 緩和ケア支援センター/臨床研究センター
主任 山本 瀬奈 先生

講演では、まず初めにACPの概念や用語についてご説明いただき、ACPが重視されるようになった背景と国内での動向、ACPにおける看護師の役割についてお話していただきました。
そして、これらの概要をもとに、山本先生が所属されている相良病院での「質問紙を活用したACPの取り組み」について事例をまじえながら紹介をしていただきました。ACPにおいて質問紙を活用することで、患者-家族間、患者-医療者間、医療チーム間での情報共有ができ、話し合いを促進する効果があることをご説明くださいました。しかし、山本先生は、質問紙を活用すること自体が目的ではなく、あくまで患者さんやご家族との話し合いの質を担保するためのツールの一つであることを強調されていました。加えて、相良病院では、日常的に外来診療の場面に看護師が同席し、患者さんとご家族が望むタイミングで話し合えるように、外来システム全体を整えている様子もうかがい知ることができました。
また、ACPのプロセスにおいて大切にしている点として、患者さんの抱える苦痛症状の緩和を平行して行うことを挙げ、患者さんを全人的にアセスメントしたうえでACPを行う適切なタイミングを見極める必要があることを示してくださいました。さらに、大切にしている点として「どのように決めるかではなく、なぜそのように決めるか」ということであると説明され、患者さんやご家族の思いや価値観を大切にした関わりの重要性を示していただきました。

講義を通して、患者さんとご家族が将来への不安や希望などを抱きながら療養生活を送っている現状があるなかで、看護師は、患者さんとご家族が抱いている思いや、「今」と「今後」の生活についての希望を、必要なタイミングで伝えられるように環境を整えること、そして患者さんとご家族の意思を伝える力を引き出すことが重要な役割であることを再認識する機会となりました。受講者のアンケート結果では、講義もわかりやすく、職場でも活かせる内容であったという評価が高く、自由記載では「ACPを意識した関わりの大切さを改めて学習することができました。今回学んだことを病棟に持ち帰り、活用していきたい」「患者さんが大切にしていることを普段のケアから、病棟・病院内で共有できるようになりたいと思いました」等の感想がありました。臨床で直面する意思決定支援をどのように実践していけばよいかという課題に対し、明日からの看護実践にたくさんのヒントをいただけるご講演でした。